十中八九

 窒息しそうな空気、得られないものばかり。重なり合ったまま絶えていく、鉄塔は亡霊の遺伝子。切ない気分が尽きないのは誰かのせいにしてばかりだから。世界は扉を探している、向こうに何があるか知らないけれどそれはそれでいいんだ、人間の致死率を考えてほっとした。夕暮れに蜘蛛が張った牢獄の中、酸素が少し薄いな、くらくらしている脳の信号。夕餉の匂いに導かれ、ちゃんと歩く事にすら必死で。
 真四角の太陽がゆれている、ゆれている!水蜜桃や西瓜糖の輪が回る、溶けていくんだ。未来とは一種のセオリーで、過去は所在地からのテオーリア、騙されそうになった僕らの足跡を辿るな、光が射す方へ、見ろよ、世界は十中八九死んでいく。