暴走のワルツ

 漕ぎ出でて死ぬ夢の海原に僕たちが殺し尽くした蟲の尖った六角錐の脚が絡み付いて、おんぼろの舟は容易く沈む。揺れる月が指差した未来はまだ雨雲の下で、うそつきだった、明日世界が崩壊するとしたら、誰もそれを止めるなど考えなかったから。妄言主義か享楽主義か、世の夜を継ぐ君の暴走が大きな松明の元集まる蛾を焼く。衝動を止められない、青い力と赤い火がかみそりみたいな弱い刃で巨大な運命に抵抗する。謀らずも止める夕立!僕の声がまた雨を呼んでいる!いっそのこと息を奪えよ、僕を殺したら君は自由か・それとも。毒はじんわり粘膜から吸収され結果を待った!あの日の僕らのワルツはきっと、歯痒いまま朽ちていく悪魔の骨格の正中線を辿り、滝壺の絵を描いている。
 いつかそこへ落下していく地球。