厳冬の夏

 歓びの底に淀んだ悲しみがないと不安だ。僕は薄い氷膜の上を行進する兵隊です。無表情で知らない振りをする道化のようなものさ。夏なのに冷たい光が射している、小さな期待は燃えてしまったかもしれないけれど、いいよ。君が指を差した方向へ行こう。君の恣意に示唆されたい。
 樹海に遺されたロープのお城、振り払う勇気もなくて、さよならすら君だろう!旅立つ仕草だけして東京を侮辱するんだ。光るよ、君とこの膜を破りたいんだ。