停電願望

 真夏日、咽喉が枯れ果ててしまったらもうお前に届かなくなるんだな。探し疲れて諦めた最後の一個を引き摺って、さよならならちゃんと言わないと、終わりばかり望んでいる十一月がまた今年も来てしまいそうで、何とはなしに過ごしてしまう夏を笑っている。
 鏡の向こうの世界は右心臓が美しい速度で脈動するだけさ、畏れなどない、ただ単純で真摯に、僕は悲しくなるんだ。正しさを振りかざす正義の味方は原罰の意味を知らない!正解、不正解が欲しいかい?たわけ者、お前は僕を許せるかい?夏を笑う僕を。
 巨きな河川に架かる弛んだ電線が途切れたら騒つく街も息を潜めるだろうか。あのワイヤーを小さな鋏で切ってあげよう、感電死する僕の生命すら、世界の鍵でありそうな予感。青過ぎる熱、燃える。