東京週間

 三等星から光の矢がやって来る。受け止めた網膜きらきら。

 心の空白は一体何を以ってして満たせと言うのですか。私は円をぐるぐると描く。環状線に終わりなどない事は解っているのに、手段の為に目的を失ったことに気付いていない。新宿駅東口の大きな交差点はぎらぎらとした生温い音声に満ちているのに、一つになろうとしない。それは互いが互いにさびしいこころを抱えた恒星だから。

(そして私はその中の一つの小さな小さな碌でもない星でした。)
(AND I'M A LITTLE USELESS STAR IN THIS MOB)

 傷つけあうおろかでいとおしい動物たちは、いつしか地面に蹲り生きています。東京は星が亡くなってしまって、ネオンだけが横行しています。空が死んだのは東京が明るいからでは無い!ああぁぁぁ!孤独な群衆の目が、星を忘れたからであります!
 「戦いは終わったのに!」
 私はあられもない醜態を晒しながら、残った僅かな感情の黒い塊を吐き出した。人々に向けた言葉は声が急に引力を失って、遠くシベリヤ鉄道に乗って来た乾る風が南へと流していきました。

「もう忘れたまえ、そうやって私たちは今まで生きてきたじゃあないか。」
 言葉は今新しい空白となりました。寂しい風が吹いています。東京の空を見ています。