舌打ち

 天から渦を巻いて君は舌打ちをしている。そうやってまた雨を呼ぶ僕に不機嫌な思いで靴の汚れを見せ付ける。僕が吐き出せなかった思いばかりを責められて、どうしようもない顔で君を睨んでは、泣きそうな感情だけで成り立っているこの身体の節々が痛く感じる。目を閉じても君が見えるのは、この強い感情に支配されて僕が人類から新人類へと進化したのかな。
 僕はこんな下らないことばかり考えていて、君の顔も感情も消息もいまいち捉えていないときがあるんだ。そんな事を言ったら僕は死ぬしかないから、まだ生きたいから、何も言わないで君の舌打ちばかりを聞いている。