オフェンバック

 こんな陽気にどこにも出かけない。この後は仕事だから、出かける用事も出かけたい場所も見つからない。想像以上に冷えた爪先は塩ビっぽくて、気持ち悪くて切り落としたい。
 音楽だけが、今、私の世界のような気がして、失くならない微熱と、失くなりそうな感情が、もうすぐバランスを崩して、がらがらと後戻りのできないラインを超えそうだ。
 駆け出せ、そうさ、ほら、いつだって天国は私の頭上に、地獄は影の中にあるんだ。すぐそこさ。すぐそこさ。