次の点で回る世界

 僕の掌に君の温度が離れない。思い出せば出すほど、掌に甦る感覚だけが虚しい熱を帯びるんだ。街はやさしいから、僕は今ようやく泣かないで済む地点を見つけられたよ。世界は北極点を中心に回らなきゃいけないし、社会はルールで模らなきゃいけないように、僕はちゃんと歩かなきゃ家に帰れない。僕にも待っている人がいるよ。でも、帰る場所はそこですか?
 今、終の棲家の夢を見て、僕はちゃんと次にいければ良いと、本当に思った。虫や魚や動物の影が、ビルに紛れてゆっくりと列を成して進みます。その列に君の影を見た!楽園へと続く、次の点で回る世界。

 ああ、失ったものに伸ばす、その手の脆弱さ程、頼りないものはないんです…。