金星

 選ばれなかった僕は、さよならの星で廻る。僕は惑星の影で生きる。君の今生きる楽園は僕の肉眼では見えないんだ。寂しくはない、僕は泣いているけれど、寂しいからではないんだ。
 ああ!君の頬が金星の下でゆらゆら燃えているよ!きっとこれは僕の脳が網膜に投影した幻想さ。重機が切り裂いた巨木の枯れ枝が心臓から末端へ伸びる毛細血管のようで、黒い影が濃い藍の空に焼き付いている。