ラプンツェル・ドリーム

 温い夜、お前の問答に呼び起こされて、僕は溢水の夢から覚めた。目醒めと同時にお前も消えて、全部夢だったと知る。まだ溺れそうな感じ、僕の真上に縊死体の爪先、今目覚めたから頭上の死体は死体になったんだろうか。ああ、ぼうっと窓の外の明け切らない東の空を見たよ、忘却に似たお前の長い長い髪を登り切った先に、本当にお前はいるんだろうか。出来たらいないでいて欲しい、僕はもうこの眼を信じてはいけないと思うんだ。お前を知らなければ僕の頭上の死体も死を選ばなくてもよかったんじゃなかろうか、いや、違う。

 僕は覚めない夢を見ているだけだ。