インソムニア

 僕は風車を全部燃やしてしまったんだ。からから、骨が踊る音に似てる微弱な音の大群。眠りを忘れた僕の脳が神経を砥いでいて、薄っぺらな氷の膜みたいで、君が作り上げたこの翅音が踏みつけてしまった。戻らない、僕は炎で配列を変えたんだ、黒く焦げていく熱がじわりと迫る。
 内なる夜が上げたのは悲鳴で泣く産声!終幕の時の拍手で僕は当たり前の暁景を欲して、不埒なまま、泣く君の頬を何度か打った。性的な衝動だけで、妄言を吐いていられたなら、狂うことに大して恐怖なんかなかったのに、いつもの情景もいっそのこと彩度をあげて行けば怖がる姿も美しかっただろう?足りない記憶、埋めたのはいつも、戻れない日々だった、今日もきっとその風景に、没していくんだろう、ああ