都市伝説

 足らぬ旭を汚す者、行方知らずを償う者、行き交う足並みは奇数で正しさが黙る。東京になってしまった僕の金色が錆びていく、もう河を越えることもなく、坂を登れば終わりなんだね。具体的なのに表現できない、悲しいとも愛しいとも違う力は、真っ白になって次の世界に生まれるための力。
 どうだい?旗を揺らしてシュプレヒコール、まだ春を引きずる風は僕らの瞼を乾かし、誘う涙は荒れ模様。こんな五月の光線は触れてはいけない肌を焦がすから、やさしい寝息で溢れた昼下がりの都市に新しい嘘が増える。僕の告げ口が百鬼夜行に花を添える。