2008-11-14から1日間の記事一覧

妙見島行き深夜特急

無性に悲しくなった夜は、あの日の海を思い出すようにしている。じゃぶじゃぶと潮水を掻く五本の指は江戸川に浮かぶ最後の島の油脂工場のにおいがした。空っぽの内臓を埋めるのはささやかに享受するディナー、忙しなく動く心臓と息の根を止めるのは麗しきス…

十一月のシトラス

迎えたくない明日を拒む方法を知る由もなく、抗うように眠らない日々を愛することなど出来んのだ。昂ぶり尖った神経が針みたいになったら、悴んだ掌の毛細血管を紡いで瞼を縫い付ける。冬はいつだって僕を責めるのに必死、薄々感付いている身体を弔う花なん…