手首

 今、真夜中、手首を見た。死ぬのが本当に怖いと思った。青い血管が薄く脈を打っている、理解したのに実感は無いのは、私はあまりにも世界に慣れすぎているのか。私は容易く死なないでいる。ちゃんと生きることが出来ないけれど、生きることが出来るのは仕合せなんだろう。雲の上の月が今日はもう沈んでいる事に誰も関心がないみたいな、私とはそんな月でありたい。
 あの人が三年前に死のうとしたのを見た!おんなじ手首に、薄い刃を当てて、怖い、と弱く訴えた。ああ、だめだ!私の脳裏に痛みが滲んで、そしてそのまま、垂れ込めて、雲。私の救ってあげられないのと、救われたいのと、死のうとして死ねないのと、ちゃんと生きようとして間違うのが入り交ざって、私は絵を描かなきゃいけないんだと思った。

 今は心が好く無い状態です。