迎え火

 あの人が帰ってくる!天の向こう側、彼岸の国から光の馬に乗って、僕の元に帰ってきてよ。燈篭を焚いて、此処だよって言って踊った。少し晴れた夜、線香の細い煙と、十二個の盆灯篭の中で僕は眠った。雷が鳴るかと思って、雷の釼みたいに薄い切っ先が好きだったあの人と楽しみにしていたんだけど、どうも誰かが桑原って唱えたみたい。
 私の目にはあなたは映らないけど夢の中なら出会えると思って、虚栄心の現れた豪華で皮肉めいた盆灯篭の光の渦に巻かれて眠るよ。夜よ明けないで。