ジャイロ

 潮騒がワルツに聞こえた、僕は奇数拍の悪魔に取り憑かれた夕景の魔物です。虹色の光彩で西の空を、浮かぶ雲を染め上げてしまいたい。温い水で遊ぶ、僕の両足。
 あの人は結局、組み立てた理論が崩れるのを恐れていただけだ、そうさ、夕暮れの匂いも亡霊の存在も受け入れられないまま、関係だけが続いていく、のは、恐ろしいんだ。僕が魔物に成り果てたのは、お前の所為かもしれないね。
 いや、こんなことを口走るのは辞めておくよ。