すみか

 光、の羣、やわらかな朿と蕾のまま、御胸に抱かれ逆さまに君の面影を見る。こんな空っぽな世界に生まれてきた君の名前は忘れてしまったんだ。あの日になくした全部、思い出せたら、きっと。
 朝景は懺悔の青を帯びて、君や僕やビルや硝子や東京湾を脅かす。君のために死ねるの?僕を生かす術は、あの怪物のみぞ知る。東京湾へ流れ込むあの大河の一雫に君の髄液が染み込んでいればいい。