劣性遺伝

 どうした、季節が狂っているのにも気付かずに、ただ平凡な暮らしに辟易としているお前よ。ふらつく窓辺に私の足跡だけが残り、私の存在など忘れてしまったんだろう?骨の上に産廃を被せ、その上で生き延びている、ことをお前は知らない。
 鴎や海猫が希有と鳴いている、隅田川にも春が来るのさ。水天宮前から一気に駆け出して、不束な蛹から脱皮する。お前を思い出すことも、本当はいけないことだろう。振り切れ!止められないのはきっとこの血を身体中に循らせているから。