潰瘍と糜爛

 この調子だと夏まではあっという間だろうな。僕は足した数を減らして、邪魔だったコートを脱いで、描いていた絵を少し捨てたよ。身軽になりたい、氷漬けの壁は融点を越えますか?
 はぐらかした牙がちゃんと今日も傷を増やして、薄ら滲む体液と鋭利な痛みがこれからもずっと続くんだろうな、と、思うと僕の熟した粘膜が溶け落ちてしまいそうだよ。桜の樹の下には、冬に殺した僕の屍体が埋まっているかな。そうだったら!この傷は一生涯癒えない。