美しい罪

 人間としての形を保つのには、その浮雲は軽すぎる。春は、もう来たと言うのに、この足は悴んでいる。花は散ったよ、次の季節が来るのさ、ここにも。ただ白い!
 止まりそうな心臓が動いているその振動が、世界樹の下で言葉を吐き出し続けるけど、その言葉を誰が汲み取っているのか知る由もない。誰も形跡を残さないここは、何となく名前のない奇妙な関係で繋がっている、表現者と傍観者の楽園になれば良いと思う。王になる気も、愚者になる気もない。ただ、この樹の下で生きる人々の、巨大な単位を構成する一つの細胞になれればいい、そのぐらいさ、希望など無いくらいが丁度いいんだ。
 妄言、陋劣、背信、怯懦、その全てを愛している頽廃主義者の私を、もう二度と生き返らないように、4本の劔と一緒に地中深くに埋めてください。世界樹の根が私の体液を汲み上げ、今年もまた綺麗な花が咲いたら、私に手紙をくださいね。