新宿追分

 焦点すら合わない地下鉄の風はただ眼球から水分ばかり奪って地上に逃れる。僕は下駄を高らかに鳴らして、東京は新宿を闊歩している。都庁前から御苑へ抜けたい。ああ、邪魔をしてくれるな、雨を喚んでしまうよ!
 無知な若者たちは自らが模倣しているスタイルが持つ意味をまるで知らない、形而上の季節が燻らす芳しい腥さを馬鹿にして笑う。君はそうじゃないといいな、そうさ。僕を受け入れてくれた君よ、君の裏切りすら愛せてしまいそうさ。