答えがないことを恨んでいるんじゃなくて

 瞼の下で踊る酷く冷たい雫の名前を何度も呼んだらさようなら、朝を待つ指がピアノの上で最後の素数を追い駆ける。七つ目の罪で惑星は廻ることを考慮して、夜の緞帳に投影された細い月の磔刑に甘んじる。神様の裏切りを模写した金鶏の声で冴えた眼を伏せてしまう僕のオンボロの曼荼羅にようやく色が燈る。妄想みたいな気分で眠れない僕の心臓に誰かがいる。寄り添っているだけでは寂しいのに、眼を見るなんて叶わない。さあ!大海嘯で壊した君の街の跡地で手を繋ごう、引力に拐かされてした呼吸の色はブルー、ビロードの遠隔操作で磨耗したいこの鋏が切ろうとした証明書、答えがないことを恨んでいるんじゃなくて、答えの無い問題を出した誰かの世界を壊したいんだ。