グレイトフル・デッド

 地球の真理はマグマの中で理路整然、日射しに溶ける影に滲む。僕らの夜明け前にも似た青さは尖っていた、港行きの切符で涙を拭う男は海に砕け散る。赤線地帯で女衒は笑ってさようなら、明日はきっと来ないなど重々承知の上だった。猫には猫の儀式がある、犬には犬のルールがある、人間には人間の葬列の技法で、弔い忘れた思い出をひとつひとつ埋めていく。
 かなしい超越、やさしい潮流、乱雑に組まれた鉄骨が風雨に曝され、惨殺死体のような風体で赤錆を催している。笑った女、砕けた男、みんないつかはこんな暴かれた骨を濡らすんだろうか。ひゆるりと去るフラッシュバックで眠れない瞼を擦りながら、思い出せ、思い出せ、酸素を忘れようとした訳を、最たる服毒の意味を。