クロールとダイナマイト

 いつだってどこからか血は滲み続けていた、永遠は常に鬱屈する幻想である。時限爆弾を抱えたまま、足りない風速に呼び寄せた白波が消波堤に砕けて、無意味な傷に汐は届かないと知って。東京へと続く道の知らない桜を辿って繋いで星座にしよう。隠匿にも似た薄ら笑いを切って裂いて掻いて、クロール!
 雨に散る、僕の涙は老木に対する冒涜である。何度呼んでも来るのは波ではなく雨雲だった、身体の中を百々と流れる血漿には海原の温度でなきゃ物足りないのに、分かっているくせに。確実に数値を減らすデジタル表示、切り尽くした回線、あの人の檸檬よりも高性能で、まるであたらしいセックスのような溢れんばかりの快楽と泣き出しそうな空白が、あるよ。