IKASAMA

 転がっていく途中で鳴りだしたサイレン、痛いのは喉、溢れて止まない朿の所為。裏切りすら辞さないと言った割には、私から逃げていくのはどうして?新しい旭を乞う度に雲が晴れず、鬱血しそうなくらい握り締めた掌にはちゃんと血が滲む。あんたはどうせこの街にはもう来ない事を知っている、あの駅を通過する貨物列車に思い出や不具合を乗せてしまえたら良いのに。
 叶え、許すな、迷妄主義の犬と反撃のサーチライト。五拍子のフルートで振ったタクトの素数がやけに痛いんだ。私と戦うんでしょう?