2008-01-01から1年間の記事一覧
鉛のように重たい身体は指を少し動かすのも、痛いんだ。驟雨を待つ眠りの中で明日の配分を考えている、脳がちぐはぐに活動していて一つのところに着地できない。凡百の慾望に揺り起こされたら君を祀ってディナーにしよう。僕の空腹を満たす香辛料とストリチ…
呪ってやるとか唱えたって僕にそんな力ある筈もなくて、空気ばかりを飲み込んでも、ただ少しだけ長く生きられるだけかもね。真実だったら見境なく飛び付いてしまうのは何だか悲しいし、嘘臭いな。飛び交う羽虫の霞んだ翅を睨んでいるけど、脳の中は明後日の…
世界で一番劇的な夜、春嵐の放物線で恋が終わる。誰にも届かないシトラスグリーンの鮮血に、小麦の焦げる匂い、聞きたくない雑音を消す爆音をなくしたまま、漂流しようにも浮かべず、ただ、だらだら弱音を吐き続けた。芥のような虫が靴底で圧死するのを、僕…
あの海を目指さなくなって、また一つ、季節が僕の手の届かぬところへ走り去っていく。求めるだけでは物足りず、さりげない裏切りだなんて、欲張り。チョコレートの芳ばしさ、高鳴る踵のリズム、そんな些細な要因で僕らはダメになっていく。 立てよ!もう一度…
光が濡れている、雨上がりは酷く憂鬱で、あの日とおんなじの左手が持て余した傘が融けてなくなればいいのに。理想論ばかりで僕らは進化も退化も忘れてしまったみたいだ!時は平成、混乱に乗じて自分殺しに勤しんで、賛美した罪を拭ってくれるのは誰? 古い寓…
死のうが死ぬまいが地球は廻ってしまうとか何だったかな。昔みたいには遊べない、なんて、歌ってくれるな。揺籃のように容易く揺れてしまっては適わない、咳き込む身体の腱髄反射が限り無く正常な自らを造り上げている。物体の損失率、永劫主義の反復、何と…
逃げるように帰った。ここには居られないと心臓が新しい拒否をした。立ち向かうべきは自分自身なのに、疲弊していく自らを鼓舞することも出来ずに、だらだらと何となく誰かを呼んでしまいそう。僕らは泣いたって無駄だと何度も笑っていた、じゃあどうして今…
今帰れば間に合うだろうか、そうすれば君は河を越えずに済むのかな。木蓮の褪色にこの季節を追うのを諦めて、蜩の声を待ってしまう僕の潔さだけを褒めてほしい。いつだって世界は咀嚼しても噛み砕けずにいつまでも残り続ける肉の鉄臭い感じで、職安通り手前…
一線を引き続ける僕らの鉛筆が迚も長いことを全部夕景のせいにして、要らない考えを消去しなければ。こんな小さな東京でどうして君には遭えないんだろう?僕は馬鹿に冷静で、狂うことすら覚束ず、右手の痙攣が終わらない。宇宙工学や物理科学が鋭く進化を遂…
心臓の音がよく判る、少し苦しいベッドの間、明日の朝を恐れているから窓枠の振れる音にも怯えてしまう。酒精に毒された怪物が引き摺る跫音を響かせて、来そうで来ない次の一秒を黙らせた。四月なのに悴んだ指に忘れた指輪の跡が存在したら、よかったのにな…
いつだってどこからか血は滲み続けていた、永遠は常に鬱屈する幻想である。時限爆弾を抱えたまま、足りない風速に呼び寄せた白波が消波堤に砕けて、無意味な傷に汐は届かないと知って。東京へと続く道の知らない桜を辿って繋いで星座にしよう。隠匿にも似た…
転がっていく途中で鳴りだしたサイレン、痛いのは喉、溢れて止まない朿の所為。裏切りすら辞さないと言った割には、私から逃げていくのはどうして?新しい旭を乞う度に雲が晴れず、鬱血しそうなくらい握り締めた掌にはちゃんと血が滲む。あんたはどうせこの…
塊が喉に痞えて、僕は黙る。会いたいなんて言ってはいけない。光の侮蔑で明日が晴れる、右手の傘を捨てたなら、雨を呼んでもいいですか?この電車はお前の街には向かわないと知っているくせに、お前は狡い。大きな荷物のことばかり気になって、終点に着く頃…
地球の真理はマグマの中で理路整然、日射しに溶ける影に滲む。僕らの夜明け前にも似た青さは尖っていた、港行きの切符で涙を拭う男は海に砕け散る。赤線地帯で女衒は笑ってさようなら、明日はきっと来ないなど重々承知の上だった。猫には猫の儀式がある、犬…
気が狂いそうな桜の暴走、ロゼットのバラを待つ夕べ、眠りを忘れて生き延びるのを辞めるのも時間の問題。現を抜かせ!馬鹿者!重力すら耐えられない潮水の胸の谷間、欲情したって届かないじゃないか。何度だって東京湾へと続く道を裸足で駆けて、逃げた。夜…
君の爪を追い駈ける僕の瞳が乾いている。選んだカードで犬が吠え、西の空に嬰児を孕む満ち過ぎた月がじっとりと沈む。辰巳の空中から見た東京の亡霊がゆっくりと赤色の息を吸い、そして吐く。月桂樹の輪に踊る君の未来との融合、汲み取った水をまた海に返そ…
疎かにしてたもの、それで失った大切な何か、やらなければならないこととやるべきこと、やりたいことをやりすぎた身体が元には戻れないくらいに融解し、もうすぐ自分が自分ではなくなる。弾けてしまいそう、いや、弾けてしまいたい。何かを忘れるふりして、…
真っ黒な世界がもうすぐ終わるとか考えていた数年前の祈る手の影、新しい洗脳、未来のシンパシー、軽い衝動で。風の強い国で君を見失い、あれだこれだと結論ばかりで手を汚さずに土を掘るやり方で満足していた。僕らの血と肉が逖い影に酔う、踏み込む度に僕…
失語症の鳥は群れを成して沈黙の塔を探してしまう、弾けた胸に開いた青い数は逆さまに落ちる証拠。太陽に遮られた導きの星は今は何処を回っている、夕が焼ける、その習慣にどうして毎回胸を撃たれてしまうのかな。 不埒な交尾くらいでしか繋がっていられない…
何とはなしに息をする瞬間を意図的に感じていたい、誰かから授かった言葉の先にあるものはなにか知らない。書き続けるこわさと書けなくなるこわさはどっちがいい?選びきれないでいたら妙に熱を帯びた惑星の上に立っていた。誰かのせいにして、解った振りで…
排泄のような気持ちさ、体が点であることを保つ為のメソッド、拡散してしまったら、僕は実体のない薄い影を引き摺る亡霊になる。吐き尽して枯渇したレトリック、東京タワーを中心に首都高環状線はそこにあり続ける。生き延びることでしか僕が僕でいられない…
また新しい前進、無能の愛、干凅びていく暴言が善意の笑みに打ち砕かれて足元には砂漠が増える。茨の蘿、一匙の腥血で明と滅を繰り返す魔物の影。冷たい海に沈むくらいならお前を想って溢れてしまった一粒の涙に溺れてしまいたいんだ、息をしないでいられな…
歪んだ地平線に支えられた重い身体を横たえ、背骨の羅列の通りに薄っぺらい呼吸を繰り返す。悲しい自慰で震えた皮膚を舐めれば救われた気分にでもなるだろうか。一瞬見せた躊躇いの表情に血が引いてしまう、辟易としている烏が溜め息のような声で泣いている…
瞼の下で踊る酷く冷たい雫の名前を何度も呼んだらさようなら、朝を待つ指がピアノの上で最後の素数を追い駆ける。七つ目の罪で惑星は廻ることを考慮して、夜の緞帳に投影された細い月の磔刑に甘んじる。神様の裏切りを模写した金鶏の声で冴えた眼を伏せてし…
黙りこくったまま下らない悲愴感に打ち拉がれている。網膜から脳まで走る視神経の途中、光のスピードで消失する映像でありたい、絶え間なきお前のレンズに透過され続けていたい。ただそれだけを望む薄汚れた毛布に包まって柔らかくなった僕の没落する孤高を…